出張からの
帰り道。
ふと目に留まる「あっ」と思う風景にもカメラを撮りださないのは、やはりその時の気分に拠るのでしょうか。
余裕が有るか、無いか。
上手く行っているか、行っていないか。
不安が有るか、無いか。不満が有るか、無いか。
その時々の状況にもよると思いますが、この日は飛行機を降りてターミナルに向かう途中に、赤い「東京国際空港」の文字が目に留まりました。
「あっ」と思って、カメラをカバンから出そうかと思った一瞬、「でもどうせ、たいして良い写真にはならないから」なんて思ったのですが、一方でそんなネガティブな感情に負けるのもどうかと思ってカメラを撮りだし、写真を撮ってみました。
そうすると、今度は飛行機とこの看板を絡めて撮りたいと思うように。
写欲が湧いてきます。しかし、この日のレンズは、初めて本格的に使いだした画角60mm(35m換算)のマクロレンズ。なかなかターミナルの「東京国際空港」の文字と飛行機が絡まない。うーん、この画角でどうやったら両方入るかな~なんて試行錯誤していると、スチュワーデス(客室乗務員)の方が「あっ、カメラ! 良いの撮れますか?」と笑顔で話しかけてくれました。
「いや、なんだかあの『東京国際空港』の文字が印象に残って、飛行機と一緒に撮れないかな~って思ってたんですよ。」
「あっ、そうなんですね。えーっと、こっちからだったらどうかしら?」
「あっちだったら写りますか?」とチョコチョコ走り回って、アングルを一緒に探してくれました。それも、楽しそうに。
( 30mm(換算60mm)マクロではこれが精いっぱいでした・・・)
「レンズの画角っていうか、映る範囲があまり広くないレンズを付けてきちゃったんですよ、難しいですね。」
「そうなんですね~。 アッ! 今だとレアな風景も撮れますよ。」
「?」
「ほら、滑走路に一杯飛行機が停まっているんです、普段はあんなに滑走路には飛行機はありませんよね」
「ほんまや。アレですか、減便して飛んでいない飛行機が沢山あるからなんですか? 格納庫に入れないから、いわゆる路駐ですね。」
「そうなんですよ、路駐です(笑)大変だけど、今しか見れない光景ですね。」
「確かにレアですね」
そんなやり取りをしながら、飛行機とターミナルをつなぐデッキの最後まで見送って頂き、彼女は飛行機の方へ戻っていきました。
後で考えてみれば、きっとすべての客がターミナルについたことを確認する役目のようなものがあるんでしょう。それで、確認しに行くと、ちっちゃなカメラを構えた変な中年が居るものだから…。
だけど、客室乗務員の方も大変な時に、こうやってカメラを撮っているおじさんと一緒に最適な画角?を探してくれたり、豆知識?を教えてくれたりで、「お客さんに飛行機の旅を楽しんでほしい」というホスピタリティを強く感じました。
確かに、大変な時だけど、気の持ちよう。
暗くなる必要は無く、その環境下で楽しい気持ちになるってことなんだな、と教えられた、そんな出張の帰り道でした。
上手く行かない事、
出張に行かなきゃならない事、
不安や不満が有る事。
でもまぁ、楽しくやらないと、ですね。
(つづく)