あかりぱぱの徒然なるままに

トイプードル「あかり」ちゃんのお父さんの日記。ワンコとの旅行や、ハイキング・登山、カメラなどについて徒然なるままに記しています。

Construction or Destruction?


以前のエントリーのスナップショットの一枚。
akari-papa.hatenadiary.jp

 

また東工大内に建物建てるんだ・・・、正直残念な気持ちになっていました。

個人的に東工大東京工業大学)のキャンパスは凄く好きな空間です。郊外移転した都心から離れた大学ならいざ知らず、渋谷や目黒から20-30分ぐらいの場所にこれだけ広大で自然豊かな環境があるのは、希少だと思っていました。

四季折々の風景を見せてくれる、自然豊かなキャンパスは、そこで学ぶ学生の方々のみならず、近隣住民(特に昔からいらっしゃる高齢の方々等)をも魅了してきたのだと思います。

 

しかし、私が東京に引っ越してきて、ランニング等でここを訪れる様になってから、結構な数の建物が新たに建築されています。当然、昔から生えている木々を倒して。

 

部外者の私が言う事でも無いのですが、特に残念に思ったのはこの建物です。


石川台と緑が丘・世田谷奥沢あたりの呑川沿いから都立大学方向を眺めると、いつからか黒い壁が立ちはだかりました。

 


基本住宅エリアで、高い建物が無いところに、工場の様に無機質なファサードが視界の広がりを奪っている建物が、個人的にはあまり好きでなく、ジョギング等で通り過ぎる度に残念に感じていました。

 


建物そのものは、『環境エネルギーイノベーション棟』というらしく、『地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を約60%以上削減し、しかも棟内で消費する電力をほぼ自給自足できるエネルギーシステムをもつビルとして設計された、世界でも類をみない研究棟』だそうです。

環境エネルギーイノベーション棟 | 研究ストーリー | 研究 | 東京工業大学

 

ここで、どのような前提に立つかによって評価が分かれるのですが、今って、既存校舎の利用率ってどれぐらいなんでしょうか。既存の古そうな校舎・既存建物のキャパシティーに対して生徒数・利用者数が圧倒的に多いという状況なら、環境効率の良い新しい建物をつくるのは非常に良く分かります。一方、決して人口増となっていない昨今、もし既存の建物の有効利用率が低いのであれば、それら「既に存在する建物」を活用する方が、(新しい建物を建てるより)よっぽどライフサイクルトータルでのCO2は少なくなると思うのですが、素人考えでしょうか。

 


この環境イノベーション棟は、きれいだった銀杏並木の一方に壁を作り、


南側から銀杏の木々の間から光が差す、非常に美しい小路を暗い空間へと変えてしまいました。

 


無論、単なる景観・環境の観点意外で、十分意義のある建物なのでしょうが、過去に建築を学んだ一人の部外者のおじさんとしては、色々と(ネガティブに)考えさせられる建物です。

私が学生のころ(20年以上前)には、古い建物を壊して新しく建て替えるだけではなく、これからはStockを有効活用していくことこそが重要だ、なんて教わったものでしたけどね・・・。何せ、建物は数年で建て替えられますが、大きく育った木々や森や林は、数年では取り返せないですからね。

 


そして、東急大井町線目黒線の上をまたぐ橋からも、この建物が見えます。


ここからは、富士山が見えるんですよね。

 


今でも、たまにカメラを構えた人がこの場所から写真を撮っています。

左のビル群は奥沢駅前のビルなのですが、右に先ほどの建物がありますね。

 


同じ大学の別の角度からなのですが、はやり片側でも広がりが残っている方が綺麗かと思います。

 


・・・で、この橋のある場所、そこにはこんな看板があるのです。『富士山の見えるまちづくり』として、この場所が関東の冨士見百景となっているではありませんか。

www.ktr.mlit.go.jp

こういう認定があるのに、そこにあの建物つくったんだぁ、と非常に残念に思ったものです。さらに、


その看板の前に、今度は大きなネットが貼られました。

まぁ、視界が遮られる訳ではありませんが…。

 


これをみて、『あぁ、富士山の見えるまちづくり』を支えていこう、景観を守ろう、という考えはひょっとしてこの大学には無いのかな?と思いました。

 

それだけに、新しい建物が立ちそうになると、「今度はどんな建物が立つんだろう?」と残念な意味での想像を掻き立てられたものでした。

 


で、今回の開発も気になっていたのです。緑の公園とかにすればよかったのに、と思いながら見てみると・・・。

 


まぁ、なんだか四角い建物がドンとそびえ立つ、という感じではなさそうで一安心。隈研吾さんが設計に参加しているのかな?

正門側からの景色に圧迫感と閉塞感を与えないように、徐々にレベルを上げていくような設計に見えますね。

 


パースを見ると、階段状に高さを上げていき、最終的には右側に見える既存棟のレベルに合わせて連続性を持たせるように見えました。

これなら、あまり(空間としての)悪影響はあまりなさそうで、且つ活気と広がりのある、交流施設という機能にふさわしい建物になりそうですね。

 

まぁ、部外者とは言え一安心。

 


しかし、出来るならば開発より既存施設の活用を進めていってほしいですね。
(既存校舎のキャパシティーに余裕があって、活用率が高くないという前提ですが)

 

 下は、1966年当時の本館前の様子。

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1966年の東工大 大岡山キャンパス(東京工業大学WEBサイトより)

 まるで、アメリカの名門校みたい(行ったことないケド)。今この姿があったら、凄い美しい大学だと思いませんか?

こうやって、既存モノのを残すことが、かえって価値を生み出すってこともある訳で。

国立大学なんで、定期的に予算は配分されるでしょうし、建設工事を行えばあれやこれやと色々大人の事情にからむ出来事があるとは思います。 


でも、緑と周辺との調和も考えて、「壊す・創る」は進めていって頂ければと思います。

 


なんてチョット、いちゃもん付けるみたいなコメントになりましたが、ここ東京工業大学は、キャンパスを地域に開放してくれていて、私のような通りすがりのランナー(?)から、地域の方々の朝な夕なの散歩、春の花見と色々な素晴らしい場所と時を提供してくれています。

 

東京工業大学さん、ありがとうございます。

 

 

昔はワンコの散歩も自由に出来ましたが、今は入れる範囲が制限されています。

まぁ、ウンチとかそのままにして行く人とかもいますから、制限されても仕方がないのかもしれません。入れるだけありがたいと思わなければ、ですかね(ワンコの飼い主は、マナーを守ってこれ以上制限されない様にしなくてはなりませんね)。

 

しかし、本当に自然が豊かなキャンパスですね。

 

 

 

 

 

これからも、環境と調和した空間であり続けて貰えれば幸いです。

 

 

 

(つづく)