今年、というか2020年度は沢山のカメラが発表されました。
EOS R5に始まり、Zシリーズのアップデート(Ⅱ)や、SONYのα7SⅢ、α7C、そして最近ではα1という凄いカメラが発表されました。
もう、どこのカメラも凄い性能で、プロでも無いと扱いきれないレベルの性能向上の様に思われますが、ともあれコロナ禍にも拘わらず凄い活気があった1年だったと思います。あ、LUMIXのS5も出ていましたね。これ個人的には非常に気になる1台でした…。
凄いですね、フルサイズミラーレス。
そんな中、ミラーレスの祖ともいえる?マイクロフォーサーズは寂しいものでした。
Panasonicからは、LUMIX G100という個人的には何とも言えないVlog向けと謳ったカメラが出ました。
また、OLYMPUSからはE-M1 MarkⅢやE-M10 MarkⅣが発売されました。
…あれ、これだけかな? 他に何かありましたでしょうか。
有ったとしても、あまり記憶に残っていないという、チョット残念なマイクロフォーサーズ陣営。機能的に大きな進化を果たした商品が無かったことが印象の薄さに繋がっているのでしょう(EM-1 MarkⅢとか、機能的には凄いんですが、MarkⅡでも十分凄いから…)。
それに、カメラの発表云々より、そもそもマイクロフォーサーズの雄 OLYMPUSの映像事業譲渡というビッグニュースがあったのが2020年。マイクロフォーサーズユーザーとしては、この先どうなるんだろうと心配になったのが正直なところ。またフルサイズミラーレスに参入したPanasonicのマイクロフォーサーズの力の抜き具合なんて、LUMIXユーザーとしては悲しすぎる感じでした。
しかしながら、システム全体のコンパクトさ、レンズの豊富さ・リーズナブルなプライス感と、10年以上前からデジタル一眼としての最適化を目指したフォーマットの魅力は健在だと思います。
今年出たマイクロフォーサーズのカメラに目新しさを感じなかったのは、既に色々な機能が搭載されていたから。両雄のフラッグシップ機(G9とEM-1)の機能を見てみると…
- プロキャプチャーモード:
半押しで記録を開始し、全押し時点からさかのぼって最大35コマ記録することが可能で、人の反応タイムラグやカメラの動作タイムラグが原因で撮り逃していた瞬間をより確実に記録できます。- 4Kフォト/6Kフォト:
これまで撮影に苦労していた絶好のシャッターチャンスを、18M画質や4K画質で連写撮影することで決定的瞬間を撮り残すことなく作品にできます。- ライブコンポジット/ライブバルブ/ライブタイム:
明るく変化した部分のみを追加で合成するライブコンポジット、それぞれライブビュー画面で露出の状況をリアルタイムに確認しながら撮影できます。- フォーカスセレクト・フォーカス合成:
画面を49エリアに分けて、高速AF(空間認識AF)で被写体のフォーカスポイントを瞬時に算出。6K PHOTO/4K PHOTO機能を利用して、近(Near)から遠(Far)へフォーカスポイントを変えながら連続撮影することで撮影後にピント合わせができ、好きなフォーカスポイントの写真を自由に選べます。また、ピンボケによる失敗写真を減らすこともできます。また、フォーカスセレクトで撮影したフォーカス情報を元に、フォーカス位置の異なる複数の画像を合成し、ピントの合った範囲を広げた写真を作ることが可能。カメラが合成に適した写真を自動で選び、1枚の写真に合成する「自動合成」と、ピントを合わせたい範囲をタッチ操作で任意に指定し、ピントの合った範囲を広げた1枚の写真に合成する「指定範囲合成」の2つのモードを搭載し、作品として残しておきたいフォーカス&ボケ味の写真に仕上げることができます。- ハイレゾショット:
16回の撮影で得られた3億2000万の画素情報を使って約5000万画素の高解像写真を生成する、手持ち撮影でのハイレゾショットに対応しました(E-M1 MarkⅢ)。- その他の機能:
高速連写(AF追従20コマ/秒、固定60コマ/秒)、強力な手振れ補正、動画機能(あまり詳しくないので割愛)、被写体認識機能(人物、人体・顔・瞳検出、動物検出等)、などなど・・・
(各社WEBサイトの商品説明より)
フルサイズ機にも導入されている機能があるかもしれませんが、マイクロフォーサーズでは、もう2年以上前からこれらの機能が実装されていました。デジタルカメラらしい、ミラーレスらしい機能は既にマイクロフォーサーズには備わっていたのです。
・・・ということで、システムとしての可能性はまだまだあると信じているマイクロフォーサーズ。良く映像素子のサイズが問題にされますが、(あからさまに「映える」感じにチューニングされた絵になるのは好きではありませんが)今はもっと小さい映像素子を積む携帯スマホでも凄く綺麗な写真が撮れる時代であることを考えると、「レンズ交換式カメラ」内でのセンサーサイズの小ささは、逆にアドバンテージになる可能性があるかもしれません。
たとえば、先に述べた機能の多くがまだフルサイズミラーレスに搭載されておらず、マイクロフォーサーズに搭載されていた理由に、技術的な要素があるのでしょうか? 私は技術的なことは分かりませんが、考えられるのはやはり映像処理のスピードなのかな、と。
センサーサイズが小さい分、色々な処理が早くできる為、例え同じレベルのCPU(GPU?)を積んでいたとしても、処理が高速に出来るから色々な機能が実装できているのかもしれません(だから、今後CPUの性能が上がればフルサイズでも色々な機能が実装されていくのではないかと思います)。
そして、センサーサイズが小さいのに綺麗な写真が撮れるようになってきた、その進歩の度合いが凄いのがスマホのカメラではないでしょうか。
今のスマホって、凄い綺麗な写真撮れるじゃないですか(わざとらしい絵があまり好きではありませんし、自分のスマホは普及機なので、そんなに凄いカメラでは無いので詳しく分かりませんがw)。それって、多分処理スピードが速い分、色々コンピューターで処理してダイナミックレンジとかの暗所でのノイズ低減とかやっているんだと思うんです、あのボケ処理だってそうですもんね(流石にカメラ趣味の人から見ると不自然で無理のあるボケになっていますが)。
このレンズや映像素子の性能というよりはコンピューター処理で完成させるスマホ写真を『computational photography』と言うそうです(間違っていたらごめんなさい)。
これを良しとするかどうかは人それぞれですが、『デジタル』カメラですからコンピューター処理との関係性は無視できないし、フルサイズでも技術的に使えるようになればきっと搭載されるハズ。デジタル補正っていう概念に拒絶反応を示す人がいるかもしれませんが、実際色々やってるハズなんだと思うんです、今のミラーレスカメラも。
だから、こういう技術がどんどん進化していけば、センサーサイズの小ささからくる弱点は克服されていくのではないでしょうか。無論物理的な壁は超えられないので、ピュアに言えば大きい映像素子が有利なのですが、それが普通の人にはわからないレベルになると、どこか丁度良いバランスとなるサイズ感が出てくるのではないでしょうか。
つまり、携帯スマホと一眼ミラーレスカメラの双方の良いとこどりをしたシステム…所謂『レンズ交換式computational photography』というコンセプト。これに一番近いところに居るのがマイクロフォーサーズなのでは無いかな、と。
映像素子の小ささからダイナミックレンジ等が問題になりますが、センサーが小さいが故に画像処理を高速に出来るマイクロフォーサーズだったら、スマホの様にマルチショットによるダイナミックレンジの改善やノイズ低減等も出来るかも。カメラ好きからすれば反則技のようですが、行ってみればHDR撮影と一緒だし、『デジタル』カメラなので、色々な技術で光学的に?不足している性能を補うのはアリなんじゃないでしょうか。
そうなったときに、映像素子の小さなマイクロフォーサーズは読み出しスピードも速く、マルチショット等との相性も良いんじゃないか、最初にグローバルシャッターを積む民生スチルカメラはマイクロフォーサーズからじゃないか、なんて夢見ていました。
そうして、一定以上の画質が担保されたら、もちろんプロユースとなれば別かも知れませんが、もはや判別できなくなる。凄い機能のSONY α1が発表されても、実際に欲しいと思わないのは(当然値段もありますが😅)やはり「使える、違いが分かる」レベルを超えているからなんだと思います。自分だったらα7RⅢかRⅣが欲しいかなぁ、十分かなぁ、って思いますもんね(値段が同じならα1も欲しいですけどw)。
高機能・高画質ってのは、技術の進歩とともにどんどんレベルが上がっていくんだとは思うのですが、そのレベルが一定以上を超えると、人のニーズから離れていくというか、そこまで求めない(求める人が少数/価格に見合うと思う人が少なくなる)という事になるのではないでしょうか。
そうなると、画質・機能・性能・システム重量等の各要素で、一定の(高い)レベルでバランスがとれるフォーマットが、マイクロフォーサーズなんじゃないか…。
マイクロフォーサーズからカメラ趣味が始まった私は、ついそんな事を考えます。
そして、そんな夢を見たくなるマイクロフォーサーズユーザーの前に、最近とあるカメラが発表されました。
その名は、Alice Camera。
スマホと合体させるというコンセプトは正直あまり好きではありませんが、GH5Sのセンサーの安価版?を採用し、クアッドベイヤーHDR、Dual Native ISO等により高感度に強そう。それに、AIによるオートフォーカス、AIによる被写体認識等々でAIを活用。またマルチショットによる画像処理(ノイズを減らしたりシャドウをあげたり等)の為にもAIを活用しているという…。
The key difference between Alice and other regular cameras though is that it will use AI learning to adjust images as they are being recorded in the same way that smartphones do, to brighten shadows, to increase saturation in blue skies and to use multi-shot techniques to reduce noise and improve dynamic range. AI will also run exposure, AF and White Balance, while computational photography techniques will optimise noise and dynamic range.
(DP Review)
スマホとのWifi接続っていうコンセプトが自分的にはチョットと言う感じですが、これが普通のミラーレスカメラ然として開発されていたら、ひょっとしたらINDIEGOGOでポチっていたかも・・・。
あまり明るい話題の無かったマイクロフォーサーズ界に、新たな風を吹かせるのか。
それとも、ただの色物か。
Alice Camera。発売が楽しみです。
(つづく)