とある休日
先日、友人とランニングしてきました。
所謂、「ランニング→風呂→呑む」という流れを楽しむもので、どこがフォーカスされているのか謎(笑)のイベントですが、セットになることで楽しいイベントであることは確か。
この日は、代々木公園で走って、その後友人が見つけてきた銭湯に行くことにしました。
代官山で荷物を預けて、渋谷を通り越して、代々木公園へ。
銭湯へ
銭湯に入って、券売機でサウナセットを買って、番台でチケットを渡したら「今、お待ち頂く事になるのですが、良いですか?」と。
ん? 何を待つの? と聞いてみると、ロッカーが開いていないので、サウナはおろかそもそも風呂に入れない、とのこと。
自分一人だけだったら、その時点で引き返すところですが、友人が先にウェイティングリスト?に名を連ねてしまったので、自分も順番を待つことに。
周りを見てみると、20代前後と思しき若者が多数。なるほど、いわゆるサウナブームというやつか、と思いました。ブームだからと、サウナにハマる。芸能人が「整う」とか言って、良くテレビに出てくるルーティンをマネする、そんな風潮をチョット軽薄だなと思っていたのも事実。それだけに、そんな中に囲まれて風呂に入るのに並ぶなんて。
自分は、サウナ歴は小学生時代からだからかなり長い。きっかけは、(今じゃ考えられないが)小学校の先生が、子供数人を銭湯に連れていってくれたんですよね。当然サウナは子供はダメなんですが、まぁ、時代というか、興味本位で入って遊んでいましたね。もちろん、今の様な「整う」為の行動なんて知らないし、サウナハット等のアイテムも各種イベントも無かったですが、それでも単純に暑い空間と広いお風呂を楽しんでいました。
そんな、地方の田舎の銭湯で、昔からお風呂やサウナを嗜んで?来た身としては、サウナや風呂で並ぶなんて考えられない。いや、クレイジーだろ、と思わずにはいられなかった。だって、風呂やサウナって、テンポじゃないですか。入りたい時に入る、解放されたい時に解放される。それなのに、風呂に入るのに順番待ちって何事? いやエンターテイメントの一つかもしれないケド、でも風呂に入るのに並ぶなんて…。
だから、銭湯ブーム・サウナブームになった今、沢山の人であふれる東京の狭い銭湯に行くのが嫌になったんだ、なんて思い返したり。
そんな不満をブツブツと言いながら順番を待っていると、15分から20分ぐらいだったかな、番号を呼ばれてお風呂に入る事が出来ました。
いざ中に入ってみると、何だか意外とイイ感じ。
入場制限しているだけに、混んではいるケド絶妙に「入れない」という状況にはなって無くて、風呂にもサウナにもある程度すんなり入れる状況。風呂場には入れるけど、風呂に入る隙間が無い、サウナは順番待ちの行列が出来ている、なんて状況と比べればだいぶマシか。
そして、サウナも施設規模の割に広くて、利用しやすい。
そして利用している人たちのマナーが良かった。
黙浴、静寂のルールをキッチリと守っていたし、混雑したサウナでも他の人が座れる様に皆が融通を効かせようとしていた。
ブームに乗った若者、なんて一括りにしてゴメン。ちょっとサウナの中でそう思った。
皆が気持ちよくサウナを楽しんでいて、お風呂を楽しんでいて、皆で気持ちよく過ごせるように、それぞれが行動している。ブームかどうかなんて、どうでも良いじゃないか。思ったよりも気持ちよく利用できる場所と利用している人。
譲り合い、静かに、そして暑いケド快適な空間を楽しめました。
そうそう、友人はあまりそのあたりを気にしないのか空気を読まないのか、サウナの中でもリラックススペースでも話しかけてきた。屈託のない笑顔で、「いやー、冷えたビール飲みてーなー」とか「いやー、やっぱココは気持ちいいよね」なんて。
すべて同感だけど、ここは「静寂」と推奨された空間。軽い相槌で会話を終わらせながら、ふと父親を思い出した。
ウチの父親はあまり話を聞いてこない。
「最近仕事はどうだ?」とか「今日は何をしてきたのか?」とか「東京の生活はどうだ?」とか、久しぶりに出張の際に実家に寄ってもあまり近況を聴いてきたりしない。
考えてみれば子供の頃からそんな感じだった。興味が無い訳じゃないだろうけど、基本的に会話のキャッチボールを楽しむタイプでは無いのか、敢えて会話を広げるタイプでは無いんだなぁ、と感じていた。
しかしながら、何故か一緒にお風呂に行くと話しかけてくる。それもサウナで。
「黙」「会話禁止」などと、わざわざ貼紙がある空間で、だ。
まぁ、超ローカルな銭湯に行くと、常連客がサウナでも風呂でも大声でしゃべっているという事はよくある事ですが、だからと言って良い感じがしないのも事実(観光地の温泉でグループで大声でしゃべっている人たちも、決してイイ感じはしないですよね)。
話しかけられるのは嬉しいし、折角久しぶりに会うのだから色々話したいとは思うのだが、ココじゃないでしょう、と良く思ったものだ。
出来れば夕飯の時にしてほしい。そしたらもっとコミュニケーションもとれて楽しいのに。
そんな事を考えていたら、ロウリュ(löyly)とパフォーマンスが始まった。
水をかけて、温度を上げて、そしてタオルで熱風を起こす(本来はタオルやうちわであおぐことは「アウフグース」と言うそうですが)。タオルをピザ生地の様に回転させたり等のパフォーマンスも交えられ、元気な音楽と共に熱風を起こし、最後にはエアブロアーで熱風をあてる。
普段から通っているのであれば特に不要と思うかもですけど、こういう日曜日のレジャーとして来ていると、こういうイベントも楽しいな。人気があるのも頷ける、と素直に思った。
結局、入場待ちに不満タラタラだったのに、お風呂から出たら「いやー、良い風呂だったわ」と友人と話していた。
改める
そして、最初に不満をタラタラ言った自分がチョット嫌になった。
「気に入らないと直ぐに文句言う」みたいなところは直した方が良いよね、と。
自分と考えが違っても、一旦受け止めてみる。大人になって、そんな事は分かっているし実践していると思っていたケド、ふと休日に不満を感じたところを見ると、まだまだ大人になったとは言えないみたい。
改めよう。
久しぶりにそんな風に思いました。
…その後は、友人が行きたいと言った「恵比寿横丁」に向かいました。建物の中に、屋台みたいな感じで色々なお店が入っているタイプの集合居酒屋?だと思う。
ネットで調べたら営業は一番早い店でも16時からだし、絶対営業していないって、って思ったし言ったけど「いや、ほらゴールデンウィークだからさ、意外とやっているカモよ」という友人の言葉を否定するのは止めてみた。ダメだったら近くに目星をつけていた店もあるし、と思って。
案の定、恵比寿横丁はやっていなかったケド、目星をつけていた昼から空いている近隣の店で呑むことに。
久しぶりに、昼吞みが進んだ。
たくさん飲んで食った。
そして、この歳になってもまだまだ改めることが沢山あるなぁ、とも思った。
そんな、ゴールデンウィークの、とある一日でした。
(つづく)